父から突然の電話。
「ママが出先で倒れて、救急車で搬送された。たぶん危篤状態だ。すぐ帰って来い。」
<鳴き叫ぶセッカ>
驚きの知らせに、心臓がバクバク高鳴る。情けないことに、どうしたらいいのかわからなくて、出かける準備をしながら、家中を走り回っていました。
そして、喪服が必要か・・・いや、そんな縁起の悪いもの持って行くもんじゃないなどと、自問自答しながらうろたえていました。
少し落ち着いてきたので、状況を確かめる為、搬送先の病院を調べ、連絡をとって見ることにしました。原則的には、電話口で病状について話すことはできないそうだ。そこで、患者の娘であること、遠く離れて住んでいること、父から危篤とのみ知らされたことを話し、母の容体について、少しだけでも教えてほしいとお願いしてみた。身元確認をされた後、担当の先生につないでくれ、病状を聞くことができた。
「心電図では、心筋梗塞が疑われ、カテーテルを行ったが、血管に梗塞などの異常は認められず、たこつぼ心筋症と思われます。」との説明。
一瞬、わが耳を疑い、「えっ!た、蛸壺ですか?」と聞いてしまいました。
容体は安定しているとのことでしたので、丁寧に説明してくださった先生にお礼を言って電話を切りました。変な名前の初めて聞く病名でしたが、ひとまず、安心。それから、新幹線に乗って東京へ向かいました。これが、9月4日のことでした。
<父が育てている朝顔>
たこつぼ心筋症って、ご存知でしょうか?
ネットで調べてみると、主に心臓の左心室の上部が、異常凝縮して、下部は収縮せずふくらんだままの状態になる心臓病で、その形が、蛸壺に似ていることから、たこつぼ心筋症と命名されたそうです。症状は心筋梗塞と酷似し、強いストレスが原因と言われていますが、はっきりしたことはわからないようです。また、高齢の女性に多いそうです。死亡率は数%、ほとんどが投薬により完治しているらしい。
母は、ICUに3日間、その後一般病室に移り8日目に退院することができました。投薬治療のみで、今後一ヶ月は、運動禁止。でも、普通に生活していて良いそうです。2週間ほど実家にいて帰ってきました。これほど長く実家に泊まったことは、結婚後、初めてのことでした。
子供頃の父は、休みというと、家でごろごろ。座ったまま、「お茶!」「新聞!」というだけ。ところが、今は、毎日、洗濯をし、たたんでしまっている。トイレや台所などのタオルを交換したり、ゴミの後始末をする。そして、ベランダ園芸を楽しんでいた。毎食のサラダは、父が育てている野菜の芽。
<父が育てている野菜>
3つのプランターで、種まきの時期をずらして常時収穫できるようにしていました。これがゴマドレッシングとあって、おいしかったです。また、ATM機が使えなかったのに、ちゃんと、お金を下ろすことができるようになっていました。父の変貌ぶりには驚きましたが、これが母の教育の成果かな。
退院後の母は、やはり、足の筋力がなくなり、歩くことがかなり大変そうでした。もう少しいてあげたかったのですが、どうにか生活できそうでしたし、我が夫も気になるので帰ってきました。
こちらは、父よりずっと生活力があるので、どうにか家事をこなしていて、一安心でした。
9月は、どたばたとあっという間に過ぎてしまいました。もう本格的な秋ですね。百舌の高鳴きがとてもにぎやかです。